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おまえにチェックイン
 
先週、妹の結婚式があり、三重の松阪まで行ってきました。
「ようやく片付いてくれた」という感じで、
兄としてほっと安心したところなんですけど、
結婚式では亡父に代わってバージンロードを歩くという大仕事と、
披露宴で弾き語るというミッションがもれなくついてきました。
  
  
バージンロードは思いのほか大変ですね。
根っからの「イチビリ」なので、
こういう場面では緊張の緩和というか、
ウケを狙いたい性格なんですが、
妹からボケを堅く禁じられてしまいました。
こうなれば、八方ふさがりもいいとこ。
ちゃんとマジメにやりました。
  
  
披露宴では息子と一緒に弾き語り。
やはり「君が嫁いだ景色」を歌いたいところなんですが、
妹からの「アップテンポな曲」をリクエストされてしまいました。
披露宴冒頭の堅苦しいあいさつの直後、
わっと盛り上げてほしいといわれまして・・・。
  
  
おかげで選曲で苦しむことになりました。
僕としてはジュリーナンバーでいきたいんだけど、
なるべく他の人もよく知っている曲、
つまり昔のヒットシングルからのチョイスになる。
  
  
ところが歌いたい曲って、
結婚式には不向きなものばかり思い浮かぶ。
「え?オレってジュリーファンやんな?」
っていうくらい、頭の中がからっぽ。
さんざん悩んだ結果、「おまえにチェックイン」にしました。
  
  
曲が決まったら、今度はどうやって演奏するかを考える。
ジャカジャカとアコギを鳴らして歌うんだったら、
息子とふたりで演奏することもないし、
やっぱりリードギターが欲しいなということになりました。
  
  
エレキを持っていく場合には、アンプも必要になるんだけど、
電車移動でアンプは重たいな、というで、
フェルナンデスのZO-3(ぞうさん)ギターを使うことに。
その名の通り、象さんをカタチどったアンプ内蔵のギターで、
耳がスピーカーで、鼻がネック、電源ランプが目という雰囲気の一品。
宴会ギターだ。
   
  
息子にはアコギでコードをジャカジャカさせて、
僕はZO-3でリードギター。
ユニゾンのソロにはならないけど、
この曲の柴山さんのパートは目をつむっていても弾ける。
なにしろ14歳から29年間弾き続けていますからね。
  
  
レコードではB♭なんだけど、
ライブでは1音低いAで演奏されているこの曲。
僕たちは、息子がB♭でコードを覚えてしまったので、そのまま。
と、思っていたら、僕が「ごっちゃ」になってしまいました。
普段はライブDVDなどを見ながら練習することが多いので、
つい無意識にAで弾いてしまう。
  
  
でも本番は頑張りましたよ。
勤務先の偉い人の、堅苦しいあいさつの直後に、
花嫁の兄は、象のカタチを模したおちゃらけたエレキを持って、
「チュルルル」してきました。
司会者が「お兄さん、今日は大活躍です!」って紹介したけど、
皆さん、このハイテンションな兄の姿に、
さぞ度胆を抜かれたでしょう。
しかもZO-3ギターは、ボリュームMAXで音が割れまくり。
  
  
妹の友人たちにはウケが良かったんだけど、
花婿サイドどころか、こっちサイドの親戚が退いていた。 
 
 
(おまけ)
澤田さんご本人の「おまえがチェックイン」を聴いたとき、
裏声のコーラスが斬新で驚いた。
テレビの中の澤田さんも、EXOTICSも演奏中、
ぜんぜんじっとしていない。
それがカッコよかった。
 
アダム・アンツやミック・ジャガーみたいで、
こんなワイルドな「歌謡曲」が他にあるだろうか。
アルバム「A WONDERFUL TIME」の1曲として聴くと、
洗練された都会的なサウンドなんだけど、
テレビの歌番組で聴くそれは、
パワフルなパンクロックだった。
 
    
 
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敏江

続・キースさん」のつづき。
  
  
キースさんと、その愛人で人妻の敏江
(漫才師の正司敏江に似ていることから僕が勝手に命名)に、
訊いたことがある。
なぜ禁断の愛に身を捧げているのかと。
  
キースさんは長身で顔の掘りも深く、「黙っていたら男前」、
あるいは「何もしなければ男前」である。
ギターも上手いし、前歯だってキレイになった。
今はその歳で、しがないフリーターをやっているけど、
将来的にはいろんな恋愛の可能性もあるはず。

なのに、よくもまあ、こんな蛍光オレンジ色のスゥエットを着て、
ずかずかとガサツに登場する敏江と、
誰もうらやましがらない、
ハイ・リスク・ロー・リターンな危険な恋をしているのだろうか。
 
 
敏江曰く、「この人は何かを持っている」そうだ。
いずれ世間をあっといわせる「何か」をだ。
この賑やかなだけの、カラッポの世界で、
人々を「ぎゃふん」といわせられる力を秘めている、
と、謎めいたことを言った。
 
実際に僕自身、キースさんにはいつも「ぎゃふん」といわされっぱなしだし、
おそらくキースさんに関わる人たち全員、「ぎゃふん」の連続である。
これ以上、人々を驚かせるには、重大事件を引き起こして、
射殺されることぐらいではないだろうか。
   
   
キースさん曰く、「この女の占いは当たる」そうだ。
タロット占いが趣味の敏江、彼女には「何かが見える」という。
ブラック・マジック・ウーマンかよ、敏江!
   
確かにロックと「黒魔術」的なものには、
ミステリアスな関わりがないとは言い切れない。
  
そう考えれば、キースさんもいろいろ考えての、
ただれた恋愛関係なのかも知れない。
キースさんがバイトしているレンタルビデオ屋では、
いつもB級ホラーを上映しているくらいだし、
きっとホラー好きなんだ。
  
バンド練習中の差し入れに、
大量の「ゆで卵」をもってくるのも、
お弁当に黒胡麻で「スキ」と書いているのも、
敏江にとったら、呪術的な要素があるのかも・・・。
  
つい、敏江の別な姿を想像してしまう。
深夜になると、スクリーミン・ジェイ・ホーキンスのように、
ドクロにタバコの煙を吐き出させたりしているのか。
ジョン・ザ・コンカラーの根っことか、
ゾンビ・パウダーとか、ブードゥー人形とか、わら人形に囲まれて、
ヘビやイモリや、不思議な薬品を使って、
惚れ薬なんかを作っているのではないか。
キースさんに一服盛っただろ、敏江!
 
いや、おいおいおいおい、ちょっと待てよ、
あるいは僕がいつも心の中で、
オマエのことをボロクソに言っているのも、
実は黒魔術の力で、
とっくに気づいているのかもしれない、
怖い、怖いぞ、敏江!
いや、呼び捨てにしてゴメンナサイ、敏江さん、
いや、違った、「敏江」も悪口だった、オーマイガッ!
  
などと、内心ちょっとビビりながら、
敏江の霊感話を聞くことにした。
   
  
 
「今日は何番の台!」
敏江はキースさんにそう言って、パチンコの台を選んでやるそうだ。
すると不思議なことに、3回に2回は「勝つ」とのことだ。
 
 
  
ん?ちょっと待って、それだけ?
・・・あほくさ。
    
溺れる者は藁をも掴むというが、
それぽっちを「霊感」と信じるには、
あまりにもお粗末すぎて開いた口がふさがらない。
さすがだ、キースさん!
よほどピュアな心を持っているんだね。
  
 
ちなみに僕は柔道の試合の前日、
敏江にタロットで占ってもらった。
 
「日頃の練習の成果を発揮できれば、勝てる」と断言されたが、
たぶんそれは占いではない。
「大会委員長の開会のあいさつ」である。
 
試合の結果?
なんてことはない、一回戦から優勝候補と当たって、
開始数秒で瞬殺の一本負けである。
日頃の成果なんて発揮する余裕もなかったぞ、敏江!
 
  
 
(ちなみに本物の正司敏江師匠。よく見れば可愛い
 
 

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グランキューブの・・・
 
チケットが届いたけど、「なんでやねん!」という残念な席。
 
毎回、「誘導がないから、帰りのエスカレーターは危険」とか、
グランキューブの文句ばっかり言っているから、
相性が悪いのかもしれません。
 


 
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ふたたびキースさん
  
ある日、キースさんの前歯が、キレイになっていた。
差し歯を入れたり、欠けたところは埋めたらしい。
滑舌は相変わらずだったが、とても男前になった。
  
キースさんにどのような変化があったのだろう。
ひょっとしたら略奪愛の挙句、
敏江と結婚でもするのではと心配になった。
  
敏江・・・ときたら、
トレードマークの蛍光オレンジ色の上下スウェットで、
ずかずかとスタジオに差し入れを持ってきたこともあった。
  
第三者にまでコールタールのようなプレッシャーを与える、
例のブラック弁当かと思いきや、
なぜか大量の「ゆで卵」を新聞紙にくるんで持ってきて、
「みんなで食べて」
ひとりノルマ3個分くらいあった。
  
心の中で「オマエが産んだんちゃうか!」ってツッコミを入れてしまった僕は、
「敏江の産卵シーン」という強烈なイメージのせいで、
一口も食べれなかった。
    
そもそもバンドへの差し入れが、なぜ「ゆで卵」なのか。
ガマンして食べたところで、口の中がコペコペになって、
歌えなくなってしまうのではないか。
「うーん、憎っくき敏江!」(アニメ「一休さん」の将軍義満の声で)
   
  
話が脱線したけど、
キースさん本人に聞いたところ、
歯がキレイになったのには理由があった。
  
ある秋の日の夕方、
キースさんが近鉄電車の踏切を渡ろうとしたところ、
遮断機がおりて電車の通過待ちになった。
「チッ」と舌打ちをして、ジッポーのライターでマルボロに火をつける。
タバコの煙をフーっと吐き出して、踏切の向こう側を見ると、
何やら自分を睨んでいるヤツがいる。 
学ランを着たヤンキーだ。
  
あの頃、服装にこだわりを持っていたヘビメタやパンクは、
よくヤンキーのカモにされたものだ。
そして今、高校生ヤンキーがキースさんにメンチを切っている。
  
しかし高校生のメンチごときでビビる我らがキースさんではない。
キースさんは「昔はけっこうワルだった」というけど、
「だった」はないだろう、「だった」は!
「be+〜ing、若さの進行形、純なハートが弾んで揺れる♪」と
柏原芳恵さんも歌っていたが、キースさんは「be ワルing」だ。
  
  
ということで、遮断機を隔てて、
高校生ヤンキーvsキース・リチャーズのガンの飛ばしあいがはじまった。
言っとくけどキースさんは怖い。
別次元の怖さだ。
高校生ヤンキーの目にも、すぐにその狂気じみた怖さが伝わったようだ。
誰だって思うはず。
こんなストリート・ファイティング・マンとは、
「関わりあいになりたくない」と。
  
メンチの切り合いは、高校生の一方的敗北。
「僕は何も睨んでないよ、ちょっと視力が悪いだけ」とばかりに、
高校生はバツが悪そうに、伏し目がちになったのだが、
戦闘態勢に突入したキースさんの気が収まるわけはない。
  
よく怪獣映画で、調子に乗りすぎた人類が怪獣の逆鱗に触れ、
手が付けられなくなる、という展開があるけど、
キースさんはまさにその悲しき怪獣である。
地底深く眠らせておけばよかったものを!
  
遮断機はもはや、福男選びの西宮神社の「赤門」。
コイツが開いた途端、壮絶な男たちの闘いがはじまるのだ。
キースさん曰く、
ヤンキー君に蹴りの一発でも入れてやろうと思ったそうです。
  
電車が過ぎ、遮断機が上がりかけた。
ロックオン完了。
キースさんはターゲットしか目に入らない。
恋は盲目というが、
「もうオマエしか見えない」状態。
チョロQのように猛ダッシュで、
すでに腰が引けているヤンキー君の元へ。 
  
 
「まさかあそこでアッパーがくるとは思わなかった、
参ったぜ、力石・・・」
 
  
誰が想像しただろう、
つんのめり気味でダッシュしかけたキースさんのアゴ先に、
遮断機が上がってきたのだ。
そそっかしいキースさん、
遮断機が上がる前にスタートを切ってしまったわけだ。
     
10代の頃にさんざん「揮発性の液体」と戯れていたキースさん。
廃人寸前までいったけど、
ギターが彼を救ってくれたという美談もあるが、
おかげですっかり歯が弱くなってしまったと言っていた。
   
黄色と黒の竹の棒は、キースさんの口元に、
怒りのアッパーカットを食らわせた。
「下の歯を中心に折れた」そうなんだが、
ポロポロと数本の歯が折れて、悲惨な姿になってしまった。
  
普通、泣きたくなりますよね、
一気にテンションが下がるはず。
しかしキースさんはその場で両膝をついたまま、
高校生ヤンキーに向かって、
「おぅ!何、見とんじゃ!」って怒鳴ったそうです。
なんと理不尽な言いがかり!
  
血まみれの口で、
高校生ヤンキーを睨むストリート・ファイティング・マンの図。
高校生は、回れ右をして猛ダッシュで逃げて行ったらしい。
僕と同年代の彼にとって、この出来事はトラウマになっているだろう。
今も夢にうなされたりしているんだろうか、
立派に更生していることを祈る。
    
  
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チャーリーさん

 
虫が嫌いな人ってけっこう多い。
小さな虫、ハエとり蜘蛛とか、蟻ですら苦手で、
見かけたら「何とかして」と大騒ぎ。
  
チャーリーさんがまさにそんな人だった。
キースさんの働いているレンタルビデオ屋でみんなでダベっていると、
店内にブーンと羽音をたてて、アブが入ってきたことがある。
   
「うわー、虫、虫、虫!誰か追い出して!」
チャーリーさんは大騒ぎ。
おかげで他のメンバーは、紙を丸めて虫を追いかけ、
チャーリーさんのテンションにのまれてしまう。
   
チャーリーさんにはトラウマがあった。
何年か前の夏の夜、屋外ライブがあって、
「助っ人」の掛け持ちで出演した。
  
ひとつめのバンドの演奏が終わって、
着替えのために汗ばんだTシャツを脱いだら、
シャツに何百匹という小さな羽虫がはりついていた。
「うわ、気持ち悪ぅー」と思いながら、
飲みかけの紙コップの中を覗いたら、
ジュースの中にも大量に虫が浮かんでいたそうだ。
   
次のバンドでステージに上がったら、
今度は飛び交う虫が気になって演奏できない。
あまりの虫の数に、発狂しそうになったとのこと。
その日以来、虫に対して苦手意識が芽生えたんだけど、
虫嫌いを決定づける事件に遭遇する。
   
チャーリーさんの仕事場は、
プレハブの事務所だったんだけど、
休日明けに出勤したら、
その事務所内でハエとり蜘蛛が孵化していた。
壁、天井、床、仕事机や書類の上までクモだらけで、
パニックになってしまったそうだ。
   
  
「虫嫌い」さえなければ、
チャーリーさんはいい人だった。
業界人っぽい軟派な軽さで、
いつも女の子のことを話していた。
ドラムの腕前はかなりのもので、
高校生バンドが叩く音とは、存在感が違った。
  
「長いからね〜」とチャーリーさんはいう。
毎日毎日、何年も太鼓を叩き続けたことによって、
「ポン」と軽く叩くだけでも、伝わり方が全然違うのだ。
手数とか技というよりも、
「オレはちゃんとここにいてるよ」って安心できるリズム、
クセの無さがクセそのものっていう感じで、
とても演奏しやすかった。
メンバーはみんな、この人のドラムを気に入っていた。
   
  
ワイマンさんは車を持っていた。
高校生バンドしか知らなかった僕は、
それだけで「大人な感じ」がした。
  
遅くまで練習した日は、
車で駅の駐輪場まで送ってくれた。
助手席にはチャーリーさん。
車のステレオからは、
僕が聴いたことがないカッコいい洋楽が流れていた。
「ダニー・ハサウェイっていうんだよ」と教えてくれた。
 
ある夜のこと。
いつものように僕が河内長野の駅まで送ってもらった帰りの話。
ワイマンさんとチャーリーさんで、
女の子目当てで、スナックに寄ることになった。
チャーリーさんの友達が働いているそうで、
ふたりは妙にテンションが上がっていた。
  
「道の説明がややこしいから」という理由で、
運転はチャーリーさんに交代した。
実際に僕が見たのはここまで。
車はブロロンと夜の闇に消えて行った。
  
チャーリーさんは、手慣れた運転で、
地元の人しかしらない裏道を使ったそうだ。
前後に他の車の気配はなく、
ヘッドライトがさびしく狭い農道を照らす。
  
タバコを吸うために、
ワイマンさんが助手席の窓をあけると、
湿気をおびた独特の夜の空気が車内に入ってきて、
バンドの練習で疲れたカラダを心地よく冷ます。
  
突如、「ブーン!」と、
車の中に何かが飛び込んできた。
大きな羽音の虫、おそらくカナブンだ。
登場のインパクトに、ふたりとも「うわ!」とびっくり。
さらに不幸なことに、その虫が、
虫嫌いのチャーリーさんの胸のあたりにとまった。
「ギャー!」
「ホホホホホ!」
  
ハンドルを握る者を失くした車は、
田んぼにダイブ。
えらいこっちゃである。
本当に、えらいこっちゃである。
   
携帯電話のない時代、
泥まみれになったふたりは、
人通りのない深夜の農道をフラフラとさまよいながら、
電話を貸してくれる民家を探さなければならなかった。
   
  

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